自分は結婚相手が現れるまで彼女というものがほとんどいなかった。
縁がなかったというか実力がなかったというか逃げていたというか、
とにかくそういうのが全く苦手だった。
当時、同じような境遇でいっしょにつるんで遊んでいた友達が、
「となり町に占いがよく当たると評判のおばあさんがいるらしい」と持ちかけてきた。
そこに行って、これからどうなるか、どうしたらいいか占ってもらおう、
ということになって行ってみることにした。
行ってみると、おばあさんの自宅を改装したような部屋で
待合室みたいなほうには順番待ちでほかのお客さんもいた。
呼ばれたら1人ずつおばあさんがいる部屋に入って見てもらう。
まず自分から、これこれこういうわけで、と話すと、なんと
「そういう相談でここに来る女の人もたくさんいるから、いま1人紹介するから。」
という。
ばあさん、話が早いな!?
占いでもなんでもないじゃん!?
心の準備ができないまま、その場で1人の女の人を紹介されて、
「2人でどっか行ってお話ししておいで。」と。
近くのファミリーレストランに行ったんだったかな。
そこで話を盛り上げて楽しく時間を過ごせるようだったら
とっくに彼女なんてできてるわけだよ。
それでも何か話したんだったかな。忘れてしまった。結局それっきりだった。
自分がそうやって出かけてる間、自分の友達のほうはなんとそのおばあさんの
お孫さんを紹介されたのだという。大笑いした。
こっち2人のうち自分じゃなくて友達のほうにかわいい孫を紹介するぐらいだから、
おばあさん的にはそっちにピンと来るものがあったんだろうな。
なにしろ占いが専門だ。かわいい孫の占いを外してしまったら元も子もない。
そっちもそれっきりだったようだ。
おばあさん、お世話になりました。